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こんにちは、レンタルサロンFELICITE神戸のナガイです。
今回セラピスト、柔道整復師、トレーナー、アイリスト、ネイリスト、エステティシャン、鍼灸師で独立開業された事がある方を対象とした匿名アンケートを募りました。
・サロン開業の「失敗談・成功談」に関する体験
・サロンの独立開業を成功させる方法・ポイントとは?
これらのアンケートについて回答頂きましたので、独立開業を目指す皆さんの参考になる様に回答を掲載します。
今回はサラリーマンから一念発起でサロンを独立開業されたセラピストAさんの体験談です。
会社を退職し、サロンを独立開業
性別:男性
独立開業した年齢:30代
業種:セラピスト
店舗形態:テナント物件(貸店舗)
前職は派遣会社の管理職をしておりました。ある日、リーマンショックの影響で、担当していた工場が100人の人員削減を申し入れてきました。
そのきっかけもあり、色々な事が重なり、管理職にうんざりしていた私は、私自身が退職する決意をしました。
そして、自分が通っていたリラクゼーションサロンのオーナーさんにお願いをして、週2日間マッサージの勉強をし始めました。
自分が癒されるのが好きだった私は、セラピストの仕事にとても興味を持っていましたし、自分がいずれ開業する事で、人員削減でクビにした派遣スタッフたちのような人たちに仕事を提供したいと思いました。
開業前に試行錯誤したのは、自分のセラピストとしてのスキルでした。自他共に認める「まあまあなレベル」のセラピストでした。
当時、私の住む地区にはリラクゼーションサロンが数店舗あり切磋琢磨しておりましたので、それを超えるスキルを手に入れる為に学校にも通いましたし、針灸や整体院にも通いました。
その当時の努力のお陰で、他の人が真似できないレベルのスキルを手に入れる事ができました
セラピストAさんの様に実際にサロンの独立開業前に、他のお店で働いてみるというのは技能・接客から販促方法まで多くのことが吸収出来るので良いですよね。また実際に働いてみた店舗の問題点をブラッシュアップして自分のお店に反映させる事が出来れば、より良い成果につながります。ほかにも顧客としてライバル店などに通われて、施術や接客を勉強されたということで、他店を知る事で自分の現在位置(施術レベル)が分かり、どう改善していけば良いのかという指標が出来たのではないでしょうか。
お店のコンセプトは「新緑と青葉」
開業した店のコンセプトは、看板ちらし等のイメージや店内装飾は「新緑と若葉」に、サービスは「完全オーダーメイド型施術」です。
なぜそうしたのかというと、開業するのは初めての経験だったので、新人・一年生の意味を込めてイメージは「新緑と若葉」にしました。
ほぼ緑だけで済むので、店内装飾の経費があまりかからないというのも理由の一つでした。
完全オーダーメイドというのは、他社リラクゼーションサロンでは取り入れていない(取り入れられない?)仕組みなので、逆にやってみようという事になりました。
お客様が求めるように施術をするというやり方です。満遍なく施術してほしいのか?重点的に施術してほしいのか?リラクゼーション的な施術を求めているのか?がっちりと施術してほしいのか?お客様の目的をはっきりとさせ、こちらも施術の目的をはっきりし易い環境にする為にそうしました。
もちろん、このコンセプトにする為には、それ相応の技術が必要となりますが、それ自体も売りにできると考えました。
サロンの開業資金と内訳
開業資金は、自己資金100万円+借入金450万円でした。
日本政策金融公庫より融資をうけました。ざっくりですが設備資金に400万円、運転資金に150万円という感じで使いました。
設備資金400万円の詳細は、テナントの敷金(家賃6ヶ月分)、前家賃2ヶ月分に150万円、看板に30万円、店内内装の造作(更衣室の造作や店内の間仕切り)に80万円、エアコン取り付けや什器(施術ベッド、足つぼ用リクライニングチェア)、受付周りの机や椅子、待合のソファー等に90万円、その他の消耗品に50万円かけました。
運転資金150万円の詳細は、4か月分の私の給料等(社会保険料)80万円、ちらし代20万円、4か月分の通信費、水道光熱費等の運転資金として50万円を準備しました。
運転資金に関しては正直な話ざっくりとした計算の基、不安を少しでも埋める為の保障的な設定をしました。
後日談ですが用意した運転資金の150万円は、4ヵ月後にほぼ使われる事なく残っておりました。
設備資金用途
敷金 150万円(賃料の6ヶ月分)
家賃 50万円(賃料の2ヶ月分)
看板 30万円
内装 80万円
備品 90万円(設備機器・備品代)
雑費 50万円(消耗品類等)。
セラピストAさんは、自己資金の4倍上の借入をされましたね。借金=悪 このように思ってる方も多くいらっしゃると思います。経営が悪くなったら返済できないんだし、自己資金100%でするのが正しいとか、お金を借りたら利息も取られるし経営に悪影響だと思う人もいると思います。
確かにその考えは間違いではないですが、正解でもないです。事業とは必ずしも成功するものではありません。当然に撤退リスクも考えないといけません。しかし事業が傾いてからでは誰もお金は貸してくれませんよね。閉店しても当面の生活費、それから閉店にかかるお金も必要です。
しかし少ない自己資金で無理して開業し、数ヶ月で運転資金がなくなってしまい閉店となると、翌日からの生活費もありません。
ですから、借入をして余力ある状態で退店する事も重要です。また運転資金が少ないと、右肩上がりの経営なのにも関わらず閉店してしまう可能性もあります。
成功するお店でも開業当初はお客様も少なく、口コミやリピーターさんが徐々に増えて、右肩上がりで売上が伸びていくものですよね。
しかし売上は右肩上がりでも家賃に光熱費、自分の給与など最低限の売上額を超えない限りは毎月赤字です。
あと2、3か月すれば黒字転換というところまできて、自己資金が尽きたらどうでしょう?せっかく売上は右肩あがりなのに自己資金だけで開業したがばっかりに閉店なんて事も起こり得ます。
こういったリスクに対処するのが、借入金です。
金利は無駄なお金ではありません。こういったリスクに対して安心を買うための保険代です。
サロン集客 お客様からお客様を紹介してもらう
サロン集客方法としては、現在は、ちらしやコマーシャル費用をほぼ使わず、お客様の紹介をメインに集客しております。
とにかく、お客様が居心地の良いスペース作りを基本にしてますので、黙っていてもお客様が人を紹介してくれる感じにはなっております。
有難いので、紹介してくれたお客様には特典のサービスを、来てくれたお客様には臨時メニューを準備しております。
開業当初は、ちらしや広告をメインに集客しておりました。ちらし配りも随分しましたし、広告を持って売り込みにも行きましたが、なかなか集客には繋がらず試行錯誤しました。
こんな良い施術内容なのに、なんでお客様が来ないんだと思った時期もありました。
そこでお客様を追い求めるのは止めにして、内面を磨く事(サービス内容、接客、サロン環境)に注視しました。
その時期から少しずつですが、お客様がお客様を運んでくれるようになりました。
その当時は月間の新規顧客数が5~10人程度でした。現在は、月間の新規顧客数が50人程度です。
リピート顧客数も300~400人程度で推移しております。
セラピストAさんは口コミを重要視されたんですね。月間50人の新規は素晴らしい成果ですね。例えば【エキテン】などの口コミサイトを上手に活用したり、紹介制度特典を用意するのは個人サロンをやっていく上でとても効果的なマーケティング方法です。
まとめ
セラピストAさんの開業体験談、如何でしたでしょうか?
サラリーマンから一念発起されて、事業を軌道にのせられたのは、Aさんが自分を信じ、結果がでなくても諦めることなく自身を向上し続けたからとも言えますね。
独立をすると待っているだけではお客様がやってくることはありませんし、どんなに頑張っても結果が見えてこないこともあります。
特にスタートアップ時は、手探りで不安との戦いになるかもしれません。
うまくいかない時はAさんのように一旦思考をリセットして、視点やアプローチの方法を変えてみましょう。
これがダメならこうしよう、でいいと思います。
試行錯誤、トライアンドエラーを繰り返すうちに、やがて少しずつですが自分なりの最適解が見え始めてきます。
またAさんの場合は、適切な借入を行ったことが安心を生み、事業を軌道に乗せられた成功理由の1つだと思います。
接客、施術、集客だけではなく資金計画が事業の継続を左右するともいえるとおもいますよ!