こんにちは、長井 達也です。
今回は”エステサロン保険の比較ガイド!おすすめの賠償責任保険は?”です。
施術者の皆さん、施術ミスでお客様に怪我をさせてしまったり、うっかりお客様のお洋服や預かり物を汚してしまった事はないですか?
優秀な施術者さんでも人間が行う以上、ミスは起こるものです。
なおトラブルが発生した場合、、謝罪で済む事もありますが、内容によっては損害賠償を請求される事も当然有り得ます。
そこで大切になるのが、エステサロン保険(別名 サロン保険・セラピスト保険)の加入です。
エステサロン保険に加入していれば、施術ミスでお客様に怪我を負わせてしまった場合など、被害者の方に保険金が支払われる事になります。
しかし皆さんお店の開業時、火災保険には加入されるのに、エステサロン保険には加入されない方が非常に多いのが現状です。
そこで今回は「エステサロン保険に加入したいけど、どれに加入すれば良いかわからない」と悩んでいる施術者さん向けに、
- エステサロン保険(エステ保険)の概要
- サロン店舗の施術ミス事例
- オススメのエステサロン保険比較(エステ保険)
について詳しく解説していきたいと思います。
エステサロン保険とは?
エステサロン保険(別名 サロン保険・セラピスト保険)とは、正式には店舗賠償責任保険(又は店舗総合保険)と言います。
エステサロン保険の特徴は、お客様や第三者の方に対し損害賠償責任義務が生じた際、被害者の方に対して保険金が支払われるというものです。
エステサロン保険の詳細
施術行為によりお客様にけがを負わせ場合、店舗の内装造作の不備(例:滑りやすい床など)や運営管理上の問題など、お店側が損害賠償責任を負った場合に補償される保険です。なお補償範囲は契約されるエステサロン保険により異なります。
またサロン店舗にかぎらず第三者に損害を与えた場合、民法709条で賠償責任を負う事が明記されています。
ポイント
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
つまり施術ミスや店内の管理が不行き届きなどが原因でお客様が怪我をされてしまうと法律上、謝罪だけでは済まない問題となります。
法的な賠償責任義務、つまり被害者に対して金銭的な補償を行う必要があります。
しかし皆さん火災保険は加入されますが、エステサロン保険は強制加入ではないため、未加入の店舗が多く存在します。
サロン店舗側に賠償責任が生じた施術ミスの実態
エステサロン保険は、お客様や第三者の方に対し損害賠償責任義務が生じた場合、被害者の方に対して保険金が支払われるというものですが、サロン保険に加入しない理由の1つに、その必要性が実感できないというのもあると思います。
最近では2022年7月に消費者庁の消費安全委員会から、エステサロンやセルフエステで HIFU施術を受けた後に、顔の一部にしびれ等の事例が報告されており問題視する発表があったばかりですが、施術ミスというのは常に傍らに存在するものです。
たった1回の施術ミスでお店が倒産になる可能性もあるわけですから、エステサロン保険(店舗賠償責任保険)への加入は必須と言えます。
しかし実際にはエステ、整体、カイロプラクティック、リラクゼーション、マッサージなどの施術ミスが消費者庁には多数寄せられています。
そこで国民生活センターに寄せられた事例から賠償責任が生じる様な施術トラブルを挙げてみたいと思います。
まつエクサロンでの施術ミス
まずはマツエクサロンで起こった施術トラブルです。
マツエクサロンで働くアイリストさんは、まつ毛エクステの施術を行う場合に美容師免許が必要となりますが無免許で施術をし、お客様に怪我を負わせてしまった事例です。
【事例】施術中から液が目にしみて、施術後、目が痛くて充血し涙がとまらない
知人の紹介でまつ毛エクステンションをした。
施術中から液が目にしみて「痛い」と伝えたが「もう少しで終わるので我慢するように。」と言われていた。
施術が終わってからも、目が痛くて充血し涙がとまらない。
どうしたらよいか。自宅でエクステをやっている人で、美容師免許を持っていないという。違法なことではないか。
引用:独立行政法人 国民生活センター
マツエクサロンはそもそも美容師免許が必要なので、この様なトラブルは稀かもしれません。
またサロン保険(店舗賠償責任保険)に加入していたとしても、違法行為になりますので保険金が支払われない場合も考えられます。
まずは法律に則り資格を保持した上で、まつげエクステの施術を行うべきでしたね。
なおマツエクの施術を行うにあたり、美容師免許を保持し施術者の不注意などにより生じた過失に対してサロン保険(店舗賠償責任保険)に加入していれば、お客様から損害賠償請求をされた際にはサロン保険から賠償金が支払われる事になります。
ネイルサロンでの施術ミス
次はネイルサロンで起こった施術トラブルです。
【事例】美容院で「爪にやさしい。1カ月半もつ」と言われジェルネイルをした。
1週間ではがれてきたのでやり直してもらったが、やはり1週間ではがれ、3回やり直してもらったら爪が乾燥して表面がはがれ痛みが出た。
元に戻るのに半年くらいかかるらしい。
ネイリストとしてお客様に施術を行う場合、国家資格などはありませんので施術ミス自体が法律違反とはなりません。
しかし上記のケースではお客様に痛みが出ている事から、法律上の賠償責任は生じる可能性は考えられます。
この様なトラブル時にもサロン保険(店舗賠償責任保険)に加入していれば、お客様から損害賠償請求をされた際、法律上の賠償責任があればサロン保険を利用してお客様に保険金を支払う事が可能です。
整体院での施術ミス
最後は整体院で起こった施術トラブルです。
【事例】整体に行ったところ、施術中に腰椎を強く押されました。
翌日、左足に強い痺(しび)れを感じ、歩くのもつらい状態になったので、病院に行ったところ「椎間板ヘルニア」と診断されました。
整体の施術が原因だと思うのですが、どうすればよいでしょうか?
引用:独立行政法人 国民生活センター
手技による施術は国家資格(あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)と、国家資格外(整体・カイロプラクティック・リラク)に分けられます。
整体の場合、国家資格は不要のため、施術行為によりお客様に怪我をさせてしまっても資格がない事を理由とした違法性を問われる事はありません。
しかしお客様が高齢の場合、骨粗しょう症などの可能性もあり骨折させるリスクが高いジャンルでもあります。
未然にトラブルを防ぐためにも、事前のしっかりとしたカウンセリングと合わせてサロン保険の加入が必要なジャンルと言えますよね。
エステサロン保険(店舗賠償責任保険)はどういう時に補償されるの?
エステサロン保険の必要性を理解するために、施術ミスを列挙しましたがエステ・リラク・ネイル・まつげエクステなど、それぞれの業種で多くの施術ミスがすごく身近に発生しているのが理解頂けたのではないでしょうか。
それでは次はエステサロン保険(店舗賠償責任保険)の概要について解説していきます。
エステサロン保険概要
エステサロン保険(店舗賠償責任保険)とは、様々な業種、さまざまなトラブルに対して対応できる総合的な保険の名称で、一般的には下記の保険が1つのパッケージになっています。
エステサロン保険とは?
火災保険 + 借家人賠償責任保険 + 施設賠償
※火災保険が付帯されず、施術ミス等に特化した保険の場合もあります。
さらにエステサロン保険の具体的な補償例
(※加入される保険により変わります)
エステサロン保険の補償例
- 火災など災害に関する補償
- 貸主に対する賠償(借家人賠償責任保険)
- サロンに起因する事故を補償
- 施術業務による事故を補償
- 名誉毀損またはプライバシーの侵害の訴訟により被る損害を補償
- サロンで販売した化粧品に起因する事故を補償
- お客様からの預かり品に対する事故を補償
- 階下への漏水被害に対する事故を補償
- その他サロン店舗に対する盗難補償(オプション)
※エステサロン保険(店舗賠償責任保険)は、お店単位で加入出来るタイプと、施術者単位で加入するタイプのものがあります。
火災保険とは?
店舗物件の火災保険とは、店舗内の内装設備・什器備品に対して補償される保険の事を言います。
具体的には、店舗の借主が発注した店舗内の内装設備工事一式の範囲と、動産(店舗内にある家具や家電などの備品)に対し火災時に補償される事になります。
※建物そのものは貸主資産となり、借主が加入した火災保険では補償の対象ではありません。
※火災保険単体では入居者の過失により階下に水漏れさせた場合などは補償されません。
借家人賠償責任保険とは?
借家人賠償責任保険とは、借家人(=物件の借主)
なお民法709条により、
しかし店舗物件を借りた際、賃貸借契約書には原状回復義務(借りた時の状態に戻して返却する義務)が明記されおり、失火法は適用されません。
つまり火事を発生させてしまった場合、借りている部分の原状回復義務は失火法でも免除されないため、借家人賠償責任保険への加入が必要となります。
なお通常は火災保険の特約(=主たる契約のオプション)として借家人賠償責任保険に加入する事になります。
施設賠償責任保険とは?
施設賠償保険とは、施設(=店舗)内でお客様や第三者に身体的傷害や財物損壊を与えた場合に生じる賠償責任を補償する保険の事を言います。
具体的な補償事例としては施術ミスや、濡れた床でお客様が滑って怪我をしてしまった場合などに損害賠償責任が生じた場合に適用されます。
オススメのエステサロン保険比較
今回エステサロンなど美容系サロンを運営されている方や、整体など治療系の店舗を経営されている方にオススメしたいサロン保険を3つに厳選して紹介いたします。
施術の賠償等に特化された日本治療協会さん、手技セラピスト協会さん、株式会社USENさんの3社です。
火災保険がセットになった!サロン保険(お店のあんしん保険)
最初に紹介するのは有線放送でお馴染みのUSENが取り扱う”お店のあんしん保険”です。
サロン専用プランが用意されており、火災保険がセットになっています。
すでに火災保険に加入されている場合は、ビジネスリスクガード(脱毛サロンの施術ミスには未対応)というサロン保険もUSENにはあります。
※USENの保険広告を以下に掲載いたします。
お店のあんしん保険は火災保険や施術ミスなどによる賠償保険、設備什器等の補償・借家人賠償責任補償及び施設賠償責任補償がセットになった割安感のある保険です。
なおヘアサロンなどの場合は、理美容サロン業特約を付加する事で補償内容をパワーアップさせる事もできます。
サロン保険比較ポイント
この保険に適している方!
・賠償保険と火災保険セットで安く乗換えたい方!
・新規に賠償保険と火災保険に安く加入されたい方!
・新規または切替で賠償保険に加入されたい方!
◇この保険には向いていない方
・自宅サロンで加入されたい方(自己所有物件もNG)
・出張施術をされる方。(出張施術は補償対象外)
・ビジネスガードは脱毛の施術ミスに未対応
理美容・サロン業向けの保険プラン(対象業種:理美容・ネイル・エステ・リラクゼーションサロン、鍼灸・柔道整復等)
詳しくは公式ホームページ「お店のあんしん保険」
この広告は商品概要のみを記載しております。この保険をお申し込みになる場合には、重要事項説明書等を必ずご確認下さい。
募集番号No「USSI1906-01」
USENお店のあんしん保険 お問い合わせフォーム
日本治療協会の施術賠償保険
次に紹介するのは日本治療協会が提供する、全ての施術家が個人単位で加入出来るサロン保険です。
平成10年4月に設立された任意団体を前身とし、平成26年5月には会員数が2万人を超える規模になりました。
また保険契約は会費の一部から支払われるため、会員の皆様は会費の他に保険料を支払う必要はありません。
サロン保険比較ポイント
◆この保険に適している方!
・ひとりサロンのオーナーに最適
・すでに火災保険に加入されている方
・出張施術における施術も補償対象にする事が可能です。
◇この保険には適さない方
・施術者単位で加入する保険になるため、複数のスタッフが働く店舗では割高になる場合もあります。
・このサロン保険には火災保険が付随されていないため、セットで加入されたい方は別保険がおすすめ。
手技セラピスト協会の施術賠償保険
手技セラピスト協会は、消費者が安心して手技セラピストを利用できることを目的としたサロン保険を提供しています。
また手技セラピスト協会さんが提供するサロン保険は対応可能業種が豊富です。
ポイント
●整体●カイロプラクティック●オステオパシー●タイ古式●足ツボ●リフレクソロジー●ストーンセラピー●リンパドレナージュ・リンパマッサージ●フーレセラピー・足圧●小顔・美顔矯正●ボディケア・ヘッドスパ・フットケア●アロマセラピー・アーユルベーダー・ロミロミ ※オイルを飲用する手技は対象外●エステ・ネイルケア・角質ケアになります。
手技セラピスト協会はセラピストの技術、モラル向上等の発展のために設立されており、また対象となる施術行為も幅広いのが特徴です。
サロン保険比較ポイント
この保険に適している方!
・ひとりサロンのオーナーに最適
・すでに火災保険に加入している人
・出張施術における施術も補償対象にする事が可能です。但し、日本国内に限ります。
◇この保険には向いていない方
・施術者単位で加入する保険になるため、複数のスタッフが働く店舗では割高になる場合もあります。
・医業類似行為に起因する損害賠償責任は対応していないため、鍼灸師や柔道整復師などは不可です。
・このサロン保険に火災保険は付随されていないため、セットで加入されたい方は別保険がおすすめ。
まとめ
以上、”エステサロン保険の比較ガイド!おすすめの賠償責任保険は?”はいかがでしたか?
施術トラブルは、施術技能に応じて減少する事はあるかもしれませんが、店内での事故(床で滑って怪我をするなど)は施術技能に関係なくどこのお店でも起こりえます。
たった1度の店内トラブルでお客様に治療費や補償などを実費で支払うとなると、それだけで経営が大きく傾く場合も有ります。
ですから施術ミスなどに関するサロン保険の加入には法的義務がありませんので任意加入とはなりますが、経営上は必須だと理解しましょう。
ただしサロン保険はあくまで賠償リスクを補償するものにしかならないのも事実です。
例えば過去にとある鍼灸院で、患者さまに肺気胸を発症させ死亡事故を起こした事例もあり、そのような場合は刑事罰もありえます。
施術の失敗による信用低下までは当然補償してくれません。だからこそサロン保険と併せてオペレーションをしっかり見直してミスの出にくい体制が重要になります。
ポイント
- サロン保険(店舗賠償責任保険)は、施術ミスなどの様々な損害賠償リスクをカバー出来ます。
- 火災保険だけでは、施術トラブル等には対応出来ません。サロン保険またはサロン保険とセットになった保険に加入必要です。
- 万が一施術ミスがあった場合、信用低下はサロン保険では補償されません。誠心誠意お客様への謝罪とフォローも大切です。
- 自宅サロンは、お客様にとっては普通のサロン店舗と違いありません。サロン保険に入りましょう。