こんにちは、長井 達也です。
今回は、「りらくるのビジネスモデル解説&現在の業績や店舗数、経営不振の原因は?」について詳しく解説いたします。
リラクゼーション【りらくる】は、株式会社りらくが運営する”60分 2,980円(税抜)”という低価格がウリのリラクゼーションサロンです。
2009年りらくる1号店を開業し、その後2020年1月時点で北海道から沖縄まで全国に640店舗出店と破竹の勢いで成長。
しかし、現在はコロナ禍の影響をうけたことで経営不振に陥り、一部店舗の閉鎖など出店速度も低下しています。
ポイント
※2023年1月現在、もみほぐしの施術料金は60分3,980円(通常価格)に値上されています。
またコロナの影響もあり店舗数は610店舗(2022年6月30日現在 )にまで減少しています。
それでもリラクゼーションサロンを運営されてる方にとって、りらくるのビジネスモデルは気になるところですよね。
そこで今回の記事では、
- りらくるの施術体験レポ
- りらくるのビジネスモデルとは?
- りらくるの利益率は?
- りらくるは潰れないの?
と言った、りらくるの最新情報も交えて分かりやすく解説していきますね。
りらくるとは?
株式会社りらくが運営するリラクゼーションサロンの【りらくる】は、2009年 4月に「りらく」1号店を開店。
2020年1月時点で640店舗まで急成長を遂げました。
なお最近はコロナ禍の影響もあり、出店攻勢から一転、不採算店舗の閉鎖を行うなど業績悪化が見て取れます。
ちなみに創業者の竹之内教博さんから、英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ(CVC)」に事業譲渡(2017年12月)されています。
その後、業績悪化の影響なのか、代表取締役も立て続けに変更となっています。
伊佐治 岳生氏→二瓶 拓穂氏→杦山 幸功氏
しかし、それでも「りらくる」を運営する株式会社りらくは、リラクゼーション業界最大手であり、ラフィネ・カラダファクトリーなどがその後に続きます。
次に、りらくるの施術内容について解説します。
まずメニュー内容は、オールハンドによる全身のもみほぐし、足つぼ・ヘッドマッサージになります。
予約方法については電話はもちろん、HPやアプリからネット予約が可能です。
予約率のUPなどを狙って自社でアプリ開発を行った様ですが、不具合が何度も発生しています。
りらくるは比較的年齢の高い顧客層ですし、予約なしで気軽にいけるのがウリだった部分もあったので、少しチグハグな戦略ではないでしょうか。
実際コロナの影響だけでなく、これらが経営不振の遠因の1つになっている可能性が考えられます。
りらくる三宮店 体験感想レポ(2018年12月)
店名 りらくる三宮店 住所 兵庫県神戸市中央区布引町4丁目2-3 片山ビル3F 電話番号 078-241-6790 営業時間 10:00~29:00(最終受付28:00) 駐車場 なし HP:https://riracle.com/usr/shop/detail/5401 |
平日の夜8時過ぎ、JR三宮駅から徒歩2分ほどのところにある、りらくる三宮店を予約せずに訪問しました。
店舗は駅前に位置しますが、エレベーター無しの古びたビルの3階です。
ワンフロア25坪ほどのオープンスペースの店内には施術ベット10床並んでおり、訪れた時は9割ほどが稼働していました。
隣とのベット間隔は1m程度と、少し近い感じがします。
施術者さんは黙々とマッサージされており、お客さんとの会話はほとんどなく静かな店内。
客層は繁華街の駅前ですが、スーツ姿は私だけ。
後は自営業者風の私服姿の方がほとんど、男女比は2割程度が女性のお客様でした。
店内に入って「いらっしゃいませ」と声掛けは頂きましたが、その後は特に案内が無かったので仕方なく靴を脱いでコートをかけて待合スペースに移動。
そこでようやく女性の施術者さんが来られて、希望のメニューを尋ねられました。
今回は初訪問と言う事で『45分2,480円(税込)もみほぐしコース』に。
その後、タブレットにペンで名前を入力する様に言われ入力。
施術着に着替える事も出来るとの事でしたが着替のスペースが熱湯風呂の着替えコーナーのような雰囲気でした(笑)。
そこで着替えは遠慮し、ネクタイとベルトを外してベッドに移動しました。
ベッドに移動後に眼鏡を眼鏡ケースに入れて預かってくれたのは嬉しかったのですが、荷物はベッド下に置く事に。
個室ではなくオープンスペースに不特定多数の方がいる状況なので、ふた付きの荷物入れなら安心してリラックス出来たのにと言うのが正直な感想です。
また不特定多数の方が訪れる店舗にしては、傘や靴などの管理が少しずさんなイメージ。
靴や傘の取違いは意外と多いトラブルなので、施術ベットに符号した番号を下駄箱に振るか靴ロッカーの導入が望ましいのでは?と思いました。
施術内容の好みは個人差があると思うので評価しませんが、なかなかの強圧に対してベッドと胸当てが安物なのですごい圧迫感。
これには自分のレンタルサロンでも、胸当てなどは拘りをもって選んでなかったので反省致しました。
施術終了後はタイマーが鳴るわけでもないので、お客様の気持ちになって考えれば配慮が必要なのでは?と思いました。
例えばタイマーが鳴った後もまだ1~2分でもマッサージが続いたらおまけ感が増したりしますよね。
最後に料金を精算してお見送りという流れに。
りらくるは指名制度もあるから名刺でもくれるのかな?と思いましたが今回は名刺は頂けませんでした。
また施術中に観察する限り、他の施術者さんも精算時は同様だったので次のリピート確保が不明でした。
以上りらくる三宮店の施術体験の感想レポでした!
りらくるのビジネスモデル
もみほぐし60分 2980円(税抜)という低価格戦略を武器に、怒涛の出店ラッシュを続けるりらくる。
直近の売上高は年商280億円を突破したとの事ですが、いったい何処にビジネスモデルの強みがあるのか、その秘密について”りらくる三宮店”を例にして解説してみたいと思います。
りらくる三宮店の推定年商は?
今回、私が訪れた”りらくる三宮店”では、滞在中に来られたお客さんの大半が、30分~60分の施術を希望される方でした。
そこで平均客単価を下記の通り仮定します。
- 平均客単価 :2,480円
- 平均施術時間 : 45分
次に、1床当たりの稼働時間/日を求めます。
りらくる三宮店は1日19時間(10:00~29:00)の営業時間です。
インターバルを考慮しコアタイム(11時~20時)の稼働率40%、その他を稼働率10%と仮定してみました。
その場合、下記の通りになります。
- 1床あたりの稼働時間/日 :4.6h(店舗全体で1日46H)稼働率24.2%
- 1床あたりの平均来客数/日:6.1人(店舗全体で1日61人)
※計算条件:平均来客数/日=4.6H(稼働時間)÷0.75H(平均施術時間)
以上を元に計算すると推定年商は下記の通りになりました。
- りらくる三宮店の推定年商: 55,217,199円
- りらくる三宮店の推定月商: 4,601,433円
- りらくる三宮店の推定日商: 151,280円
ちなみに、りらくるは全620店で280億円の売上高があります。
つまり1店舗あたりのは平均年商は45,161,290円(月商370万円)になります。三宮店は立地的にもキャパ的にも地域の旗艦店に属するかと思いますので、月商460万円の売上高だったとしても矛盾はありませんよね。
りらくる三宮店の原価・経費は?
次にりらくる三宮店の原価と経費を求めていきます。
まずは売上原価から見ていきたいと思います。
りらくるの店舗で働く施術者の方は、売上歩合による業務委託契約で働かれています。つまり施術者の皆さんは雇用契約のある従業員ではなく、個人事業主のため人件費ではなく変動原価(外注費)になっています。
下記の求人情報を元に参照すると、売上の57%~64%の歩合率である事から原価率は下記の通りになります。
- 売上に占める原価率 :約60%
次に固定経費である家賃を求めます。
今回訪れた「りらくる三宮店」が入居されているビルは、神戸の繁華街、JR三宮駅前徒歩2分に位置しエレベータ無しの3F部分に店舗を構えています。
築年数は40年~50年程度の物件です。過去の成約賃料などから想定した賃料は、約25坪で賃料共益費込350,000円前後と推定されます。(坪単価@13000円~15000円)
りらくる三宮店の利益率は?
想定売上と想定される原価・経費をもとに営業利益率を算定してみました。
結果、りらくる三宮店では1床あたりの稼働時間/日、4.6時間(稼働率24.2%)を元に計算すると月間売上、営業利益、営業利益率は下記の通りです。
- りらくる三宮店の想定月間売上 : 4,601,433円
- りらくる三宮店の想定営業利益 : 929,279円
- りらくる三宮店の想定営業利益率 : 約20%
もちろん本部経費や減価償却など見えていない数字もあります。
しかし60分 2980円(税抜)という低価格戦略にも関わらず、しっかりとした利益が確保出来るビジネスモデルになっています。
ちなみに損益分岐点は稼働率7.2%で達成可能です。
これは1床あたりの平均来客数/日1.82人(売上ベースで4513円)で達成可能な計算になります。
各店舗は簡単には潰れない、手堅いビジネスモデルといえるでしょう。
まとめ
以上、”りらくるのビジネスモデル解説&現在の業績、経営不振の原因は?”はいかがでしたか?
リラクゼーション店【りらくる】の強みは、”もみほぐし60分2,980円”と言うコンテンツの良さではありません。
りらくるのビジネスモデルは、経営ノウハウのない施術者を店子に変える仕組みに強みがあります。
つまり、この様に理解出来ますよね。
施術者=不動産賃料を支払ってくれる借主
りらくる本体=不動産賃貸事業を営む貸主
”りらくる本体”としてはイニシャルコストとランニングコストが安く、立地の良い物件さえ選定出来ればビジネスは成功したも同然です。
後は安定した家賃収入が確保出来るサブリース事業になるという事です。
だからこそ2009年に1号店を出店後、わずか10年で北海道から沖縄まで全国に620店舗出店出来たのも理解出来ます。
ちなみに減価償却は不明なので考慮してませんが、内装は事務所仕様の店舗だったので什器備品を搬入している程度なのすれば100万程度で賄えるはずです。
また仮に赤字店舗になったとしても、イニシャルコストが安いため退店に伴うリスクもわずかで備品の使い回しも容易である点が考えられます。
最後に今後の懸念としては、自社開発の顧客向けアプリや管理ツールが挙げられます。
例えばITベンダーやSIerと呼ばれる、プログラムを専門的に開発する企業であれば優秀なプログラマーも集まります。
しかし特定の機能しか開発出来ない一般的な企業においてはプログラマーとして魅力が薄く、採用が難しくなる傾向があります。
仮に採用出来たとしても経営陣の中にITに強い人材がいないと”みずほ銀行”と同じような展開になりかねません。
このあたりは早急なテコ入れが必要ではないでしょうか。
また立て続けに決済システムの不具合も頻発しており、現場と経営の乖離が感じられます。
ポイント
・りらくるは、もみほぐし60分 2980円(税抜)”という低価格戦略で2009年1号店を開業
・りらくるは現在、2018年11月現在で北海道から沖縄まで全国に620店舗出店
・りらくるのビジネスモデルは、リラクゼーション業ではなく不動産のサブリース事業