こんにちは、長井達也です。
今回は、「自宅サロンの家賃・光熱費の経費処理ガイド!電気代の按分割合や確定申告方法」について詳しく解説していきますね。
自宅サロンなどを自宅兼店舗で開業する場合、「家庭と仕事で共通して使用する経費」について、確定申告時にどう経理処理すれば良いのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか?
具体的な経費として挙げられるのは、家賃、光熱費、インターネット料金などですが、それぞれの使用状況に応じ経費として計上することが可能です。
しかし、家庭と仕事の双方で使用されている経費については、それぞれの使用状況に応じて分配する必要があります。
この分配割合、つまり算出根拠を正確に設定することが、確定申告時において非常に重要です。
分配割合を正確に設定するためには、家庭用と業務用の使用時間や面積、人数などを考慮して公正な方法で分ける必要があります。
この過程で正確な割合を見出すことができれば、経費を適正に計上し、確定申告の際にトラブルを回避することができます。
そこで今回、自宅サロンを開業された方などにむけて、正確な分配割合(=算出根拠)を設定し、確定申告時に適切に経費を計上する方法について詳しく説明します。
確定申告とは?
家賃・光熱費の分配方法を解説する前に、まずは確定申告について簡単に解説いたします。
確定申告とは、個人事業主の方が1月1日~12月31日までの1年間商売された営業結果を、翌年2月16日~3月15日の間に税務署に申告する事を言います。
また「個人事業主」とは、個人で商売をされる方の事を個人事業主と言い、例えばネイルサロンやエステサロンなどを自宅サロンで開業されている方も、立派な個人事業主となります。
なお個人事業主は確定申告を行う事で、所得税や住民税などが決定される事になります。
普段は正社員やアルバイトなど月給や時給を貰うお仕事をされている方が副業として個人事業主として事業を行った場合、副業の所得金額が年間20万円以上の場合は確定申告は義務となります。
他にお仕事をされていない方が個人事業主として開業された場合には、48万円以上の所得金額となれば確定申告が必要です。
自宅サロンを開業された方で確定申告が必要な方
・副業の方の場合→所得金額(=売上から経費を差し引いた額)が年間20万円以上
・本業の方の場合→所得金額(=売上から経費を差し引いた額)が年間48万円以上
詳しくは、下記もご参考下さい。
もぐりで自宅サロンを開業した個人事業主さんの確定申告ガイド!開業届はどうする?
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確定申告時に節税する方法は?
確定申告は、売上から必要経費を差し引いた金額(所得金額)に対し税金が課されます。
つまり、必要経費が多ければ所得税や住民税などを安く抑える事が出来ますよね。
そこで今回は自宅兼店舗として、自宅サロンを開業された方で、家賃や電気代など、家庭と仕事の双方で使用する費用を正しく按分して経費として計上する事が重要です。
それでは、具体的な経費の按分方法について、ここからは説明していきます。
自宅サロン(自宅兼店舗)の経費割合は確定申告でどうする?
自宅サロン(自宅兼店舗)を開業された方にとって、仕事とプライベートで共通して使用する経費としては、家賃や水道光熱費、通信費(電話代やネット回線)などが挙げられます。
これらの経費を使用割合に基づいて個人事業主の必要経費として処理できれば、確定申告の際に税金を削減することが可能です。
同様に、自宅サロン(=自宅兼店舗)以外の個人事業主でも、仕事とプライベートで共通して使用する物やサービスがあれば、それらを必要経費として計上できると非常に有益です。
そこで確定申告の際に仕事とプライベートで共有して使用した経費の按分方法について解説していきます。
必要経費とは?
まずはじめに必要経費とは、その事業を行う上で必要となる費用の事です。
例えば賃貸マンションで自宅サロンを開業した場合、家賃や水道光熱費を支払わないと事業は成り立たないですよね。
しかし、あくまでも経費として計上出来るのは、その事業を行う上で必要となった分だけです。
当然プライベートで使用した電気代や家賃は必要経費にする事は出来ません。そこで重要なのは税務署の方が納得する、合理的かつ明確な経費割合の根拠です。
実は仕事とプライベートで共有して使用する費用の一部を個人事業主の経費として処理する際、法的に細かく具体的な按分方法や計算方法などが明記されているわけありません。
ですから、今回記載する方法以外にも計算方法がある場合もありますし、また税務署職員の方によっても判断や見解が分かれる場合がある事を予めご留意ください。
そのうえでの仕事とプライベートで共有して使用するモノやサービスの経費割合を求めるうえで重要となるのが、時間と面積という概念です。
自宅サロン(自宅兼店舗)で使用する家賃の按分計算
自宅における仕事とプライベートの各種経費の按分には、時間と面積の概念が重要になります。
そこでまずは賃貸マンションを例にとって前提条件は下記の通りです。
- 2LDK10万円の賃貸マンション(合計60平米)
- 1部屋(10平米)を自宅サロンの部屋として使用
家賃の按分計算
◆1か月の1部屋分の家賃を算出します。
(100,000円÷60平米)×10平米=16,666円
上記で家賃全体から、自宅サロンとして使用する1部屋の家賃が算出されます。
しかし、営業時間外はプライベートで利用するならば下記の計算も必要です。
◆1部屋の1時間当たりの家賃のを算出します。
16,666円÷(31日×24時間)=22円/1時間あたりの家賃
◆次に1か月のサロン店舗の営業時間を求めてみます。
・31日÷7日=4.4 (1つの曜日が1か月の中で含まれる数)
・4.4日×5日(週5日営業)×7時間(1日あたりの営業時間)=154時間
こたえは、22円×154時間=3,388円となります。
しかし毎回ここまで計算するのも手間なので、16666円の2割を毎月家賃相当にするとして計上してもOKです。
自宅サロン(自宅兼店舗)で使用する電気代の按分計算
今回のご質問のケースでは、お客様が来られなくても週5日6〜8時間程度の営業時間中は必ず電気や冷暖房をつけて作業されているとの事なので前提条件は下記の通りです。
- 自宅サロンの営業時間は週5日1日平均7時間
- 1ヶ月の電気料金は10,000円であった場合
電気代の按分計算
◆最初に1日あたりの電気代を求めてみます。
1日あたりの全体の電気代
・10,000円 ÷ 31日= 322円/1日あたりの電気代
1時間あたりの全体の電気代
・322円÷24時間= 13円/1時間あたりの電気代
◆次に1か月のサロン店舗の営業時間を求めてみます。
・31日÷7日=4.4 (1つの曜日が1か月の中で含まれる数)
・4.4日×5日(週5日営業)×7時間(1日あたりの営業時間)=154時間
こたえは、154時間×13円=2,002円
しかし厳密には、営業時間中に常にキッチンで動いていた冷蔵庫の電気代などほかの部屋の電気代も含まれます。
これに面積の概念をいれると
2,002円×(10÷60平米)=320円となります。
自宅サロン(自宅兼店舗)で使用するガス・水道代の按分計算
例えば自宅兼店舗の飲食店さんなら明らかに必要な経費で考慮すべきですし、子メーター(親メーターが全体、子メーターが個別)をつける場合もあります。
しかし今回の様な自宅サロンの場合、大きな経費にはならないでしょうし、無理に計上して税務署の方に後から指摘を受けた時に明確な根拠が示せないなら、除外しても良いかとおもいます。
しかし自宅サロンで開業するセラピストさんや、エステティシャンの方は洗濯も多いですよね。
洗濯機の説明書には、使用電力と使用する水道料などは明記されている場合があるので、1回50円×20回という形で、水道代や電気代を計上しても良いかとおもいます。
自宅サロン(自宅兼店舗)で使用する通信費の按分計算
今回のプライベートのスマートフォンの料金ですが、すでに仕事用の携帯電話を用意されているので、具体的な経費計上できる根拠を示す(エビデンス)のは難しいので、除外してよいのではないでしょうか。
なお自宅で使用するインターネット回線料、プロバイダー代については、月間の営業時間で経費として計上可能です。
前提条件は下記の通りです。
- 1ヶ月の回線料・プロバイダー料金は5,000円
通信費の按分計算
1時間当たりの通信費
5,000円÷(31日×24)=6.7円(1時間当たりの費用)
◆次に1か月のサロン店舗の営業時間を求めてみます。
・31日÷7日=4.4 (1つの曜日が1か月の中で含まれる数)
・4.4日×5日(週5日営業)×7時間(1日あたりの営業時間)=154時間
つまり、6.7円×154H=1,031円というのが1つの考え方です。
自宅サロン(自宅兼店舗)の方におススメの確定申告ソフトは?
今回はあえて細かく計算しましたが、例えば自宅の中で店舗として使用している面積が60%なら光熱費も60%として簡易的に処理される方が実務ベースでは多いです。
正直、税務署の方も忙しいのでそこまで細かく指摘はされないのかもしれませんね。
そこで、自宅サロンの方が出来るだけ労力を掛けずに手軽に確定申告されたいなら、弥生の青色申告オンラインというソフトがおススメです。
弥生なら[家事按分]という機能があります。
この機能は、仕事(=お店)やプライベートで共有して使用するモノやサービスの[支払額]に対して、任意の割合を設定するだけで自動的にお店の経費額を計算する事が出来ます。
また初期設定では「水道光熱費」「通信費」の2科目しか表示されていませんが、その他の経費科目に関しても家事按分を行う事が可能です。
行う場合は、[水道光熱費や通信費以外の科目についても家事按分をしますか?]の「はい」を選択します。
その他の経費科目の[支払金額]が表示されますので、適宜[事業割合]を設定します。
まとめ
以上、『自宅サロンの家賃・光熱費の経費処理ガイド!電気代の按分割合や確定申告方法』はいかがでしたか?
自宅兼店舗でいうと、美容室などは昔から多いですよね。
それぞれ小メーターをつけていれば正確な金額算出が出来ますが、今回ご紹介したような面積割合などの按分で処理してみるのも一般的な方法です。
ポイント
- 確定申告をする際、仕事とプライベートの経費は按分して計算する必要がある。
- 確定申告をする際、必要経費として認められるのは、実際にその事業を行う上で必要となった割合分のみ。
- 仕事とプライベートで共有して使用する水道光熱費などの費用の一部を経費とするには、税務署の方が納得する合理的なルールが必要。
- 仕事とプライベートで共有する経費は、弥生の青色申告オンラインで手軽に計算する事が可能。