こんにちは、長井 達也です。
今回は、『美容室・サロンのドリンク提供に関する法律ガイド!飲み物提供は違法?許可が必要?』について詳しく解説いたします。
美容室やエステサロン、リラクゼーションサロンなど多くの美容系店舗では、アフタードリンクやウェルカムドリンクなど様々な目的でドリンクを提供していますよね。
しかし、美容室やエステサロンのオーナーさんにとって「サロン店舗でドリンク提供はできるの?」「飲食業の営業許可は必要なの?」と言った疑問や不安があるのではないでしょうか?
確かに、喫茶店でドリンク提供する場合は保健所の許可が必要なのと同様、美容室やサロンでドリンク提供を行う際には色々な法律により制約を受ける事になります。
そこで今回は美容室やエステサロンなどでドリンクを提供されたい方に向けて、
- サロン店舗で食品衛生法に接触しない範囲のドリンク提供とは?
- サロン店舗に最適なウェルカムドリンク・アフタードリンクは?
- サロン店舗のドリンク提供に最適な容器・カトラリー
についてわかりやすく解説するので、疑問を解決していきましょう!
ドリンクの提供目的
・老廃物を流したい
・リラックス効果
・水分補給
・店販に繋げたい
許可なくサロンで飲み物を提供するのは違法?
まず飲食店舗で食べ物や飲み物を提供する場合、食品衛生法により”飲食店営業許可”又は”喫茶店営業営業許可”が必要になります。
許可の種類 | 提供できるもの |
飲食店営業許可 | 一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフエー、バー、キヤバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいい、次号に該当する営業を除く。 |
喫茶店営業営業許可 | 喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。 |
関連法規:食品衛生法施行令35条
一方、多くの美容系サロン店舗では、飲食店の営業許可を取得せずにドリンクの提供が行われていますよね。
しかし、サロン店舗で飲食店の営業許可を取得せず、ドリンク提供を行う事について違法かと言うと、一概には言えません。
なぜなら営業許可の審査を行う保健所の見解としては”業”として提供しているのか、無償サービスなのか総合的に判断するからです。
つまりサロン店舗でもドリンクを提供し、金銭を得る場合には当然”飲食業”の営業許可が必要になります。
またドリンク提供し金銭を得ていない場合でも、ドリンクの原材料が高額であれば、施術費用の中にドリンクの代金も含まれていると判断されかねません。
ですから美容室で飲食店の営業許可を取得せず、ドリンク提供を行いたいなら、白湯・ミネラルウォーター・ハーブティー・緑茶程度が妥当だと言えます。
ちなみに美容室を開業する際に、保健所職員が構造設備基準に沿った内装を確認に来られたと思いますが、飲食店も同様に細かく設備基準が決められています。
そのためバックヤードで給湯室を兼ね備えている様な美容室では、飲食店の営業許可はまず取得出来ないのでご留意下さい。
一方ペットボトルや瓶などの容器に入っているソフトドリンクを仕入れて提供・販売する分には保健所の営業許可は不要です。
番外編 アルコールの提供
最近は待合いスペースを兼ねて、美容室にバーカウンターを設置し、アルコールを提供されたいという方も多いですよね。
この場合、美容室の営業許可と飲食店の営業許可をそれぞれ保健所で取得すればお酒を提供する事は問題ありません。
一方、飲食店の免許は取得せず、ビンやボトル・缶でアルコール類を仕入れて販売したいという場合には「一般酒類小売業免許」が必要になります。
なお一般酒類小売業免許の申請先は、最寄りの税務署になります。
免許区分 | 販売可能な酒類 | 備考 |
---|---|---|
一般酒類小売業免許 | ・全酒類 | ・1つの都道府県内で店頭小売が可能 ・1つの都道府県内に対し通信販売が可能→国税庁Q&A |
目的別ドリンク
ここからは、サロン店舗で提供するウェルカムドリンク・アフタードリンクに最適なドリンク案について記載していきます。
先程も言いましたが、ウェルカムドリンク・アフタードリンクを提供する場合、食品衛生法に接触しないためには白湯・ミネラルウォーター・ハーブティー程度が妥当です。
またハーブティーなどをアフタードリンクで提供する場合、ティーポットを用意しておくとお客様も落ち着いてドリンクを飲む事ができます。
その際、次回予約など積極的に販促をされたいサロンは予約と予約のインターンバルを長めにし、お客様とお話する時間を設ける事をオススメします。
なおブレンダーを使用してスムージーなどを提供したい場合は、喫茶店の営業許可取得が無難だと思います。
理由としては調理工程(食材の加工)が含まれており、食材原価などを考慮しても無料提供しているとは言えないからです。
また食中毒リスクもあるため保健所に営業許可を取得した上で、食中毒に対応した店舗総合保険に加入する方がベターです。
このあたりは最寄りの保健所に一度相談しましょう。
非日常への誘導・癒やし
エステやリラクなどでは、ONとOFFのスイッチを切替えてもらうためウェルカムドリンクが提供されたりしますよね。
気持ちを落ち着けるという意味では、基本的にはハーブティーなど温かい飲み物が多く提供されます。
ただし夏場などは、男性などは冷たいドリンクを希望される場合も多いですよね。
そのため、ウェルカムドリンクも温、冷、常温と3パターン用意するのがオススメです。
その他、直後にうつ伏せや仰向けなどの姿勢になっても支障がない、消化のよいドリンクと量を考えて提供しましょう。
なお妊婦さんなどカフェインを摂取したくない方もいるため、下記の表を参考に提供するドリンクを検討してみてはどうでしょうか。
お茶の種類 | 100mlあたりのカフェイン量 |
---|---|
コーヒー | 60mg |
紅茶 | 30mg |
煎茶 | 20mg |
ほうじ茶 | 20mg |
玄米茶 | 10mg |
番茶 | 10mg |
かまいり茶 | 10mg |
玉露 | 160mg |
抹茶 | 64mg |
烏龍茶 | 20mg |
麦茶 | 0mg |
はと麦 | 0mg |
ルイボスティー | 0mg |
上記を考えると、ルイボスティーなどは常備していたほうが無難ですね。
水分補給・デトックス
ホットヨガなどでは鉄分も喪失するため、硬水のミネラルウォーターなどを販売・提供する場合がありますよね。
またストレッチやパーソナルジムなどでは、水分不足から生まれる症状緩和のためミネラルウォーターなどが提供されます。
このような業種ではウォーターサーバーを設置するというのも選択肢の1つです。
ただしミネラルウォーターを宅配してもらうと、それなりに料金がいきますよね。
そこで最近は水道水を濾過するタイプで、コストパフォーマンスの良い製品もあります。
例えばevery frecious(エブリィフレシャス)などは、月額3,000円の定額でウォーターサーバーがレンタル可能です。
店販の販促
エステサロンでは美容を追求するわけですからコラーゲン系の美容ドリンクや、痩身を目的としたドリンク提供を行うことで店販に繋がる場合もありますよね。
ただしそれが薬局やコンビニなどで買える市販品では意味がありません。
こういった商品は、業販の専門店での購入が必要です。
まとめ
以上、”美容室・サロンのドリンク提供に関する法律ガイド!飲み物提供は違法?許可が必要?”でした。
サロン店舗で提供されるウェルカムドリンク・アフタードリンクをライバル店と差別化するため、高額なものを提供したいという方もいらっしゃると思います。
しかしスムージーなどを店舗で調理し提供した場合、万が一食中毒を発生させてしまった場合には、加入されている賠償保険では対応出来ない場合があります。
そのあたりのリスクを考慮すれば、缶や瓶に入った商品を仕入れて販売するというのが一番良いのかもしれませんね。
また最近は飲食の営業許可も取得して、最初からカフェを併設している美容室も増えています。
お店の敷居を低くして来店頻度を高めたり、顧客との関係性構築のためにカウンターのカフェというのは面白いですよね。
ポイント
・サロンのドリンク提供は対価を伴わなければ保健所の許可は原則不要
・サロンのドリンク提供は無償でも原価が高額になると保健所判断を仰ぐ必要がある。
・瓶やペットボトルに入ったドリンクの販売には保健所の許可は不要
・妊婦さん・糖尿病の方はカフェインの入ったドリンクは避ける必要がある。