こんにちは、長井 達也です。
今回は、「レンタルスペース開業ガイド!転貸(又貸し)の開業許可と法律知識」について解説します。
最近、副業としてレンタルスペースやレンタルサロンを始める方が増えてきました。
しかし、レンタルスペースを開業したくても「転貸NG」や「レンタルスペースでは契約不可」と言われ、物件が見つからないという方も多いのではないでしょうか?
実際、無人管理で手軽に運営できるレンタルスペースは、転貸として扱われることが多く、賃貸借契約の審査段階で断られることが少なくありません。
なぜなら貸主が転貸を許可した場合、多くのリスクが発生するからです。
そこで今回の記事では、レンタルスペース事業を開業したい方に向けて、次のポイントについて解説します。
- レンタルスペース(転貸)の利用を貸主が嫌がる理由は?
転貸によるリスクや貸主が嫌がる具体的な理由について詳しく説明します。 - レンタルスペースを違法なく運営するための不動産契約
合法的にレンタルスペースを運営するための適切な不動産契約について解説します。
なお、今回の内容は賃貸マンション(居住用)でレンタルサロンを開業する方法ではありませんので、ご注意ください。
レンタルスペースの将来性について
レンタルスペースとは、自分が所有する物件や賃貸物件を時間単位などで第三者に貸し出すビジネスモデルです。
例えばコインパーキングのような時間貸しの仕組みに近いと言えます。近年、このビジネスモデルが注目を集めているのは、以下のような理由があります。
まず、レンタルスペースはワンルームマンションの投資ビジネスよりも低予算で始められることが魅力です。
初期投資が少なく、リスクも比較的低いため、多くの方が興味を持っています。特に、物件の所有者であれば、新たに物件を購入する必要がないため、さらにコストを抑えることができますよね。
次に、レンタルスペースはハコモノビジネスであるため、立地や内装にこだわることで大きな差別化が図れます。
良い立地にある物件や、魅力的な内装を持つスペースは、高い需要が見込めます。例えば、おしゃれなカフェ風の内装や、多目的に使える広々としたスペースなどは、多くの利用者にとって魅力的です。
さらに、日々の運営ノウハウがさほど必要ない点も、レンタルスペースの大きなメリットです。
スペースの管理は比較的シンプルで、無人運営も可能です。これにより、運営コストを抑えつつ、安定した収益を期待できます。
しかし、参入障壁が低いことから、多くの競合が市場に参入しやすい環境でもあります。
そのため、価格競争が激化し、収益が劇的に下がるリスクも存在します。
このリスクを避けるためには、差別化戦略が重要です。例えば、独自の付加価値を提供するサービスや、特定のニーズに特化したスペースを提供することで、競争優位性を確立することが求められます。
総じて、レンタルスペースビジネスは低予算で始められ、立地や内装次第で大きなリターンが期待できる一方、競争が激しい市場であることを認識し、適切な戦略を取ることが成功の鍵となります。
なお業界的には、脱サラしてレンタルスペースを始められた【河野 光孝】さんなどが有名です。
貸主がレンタルスペース(転貸)を嫌がる理由は?
賃貸人(貸主)から物件を借りた賃借人(借主)が、第三者に又貸しする事を転貸(転貸借)や又貸しと言います。
この第三者の事を転借人と言い、転貸では何かとトラブルが生まれやすいのも事実です。
トラブル事例
・反社会的的勢力に利用されるリスク
・本来の許可した使用目的以外に利用されるリスク
・借主が滞納し行方不明時に転貸人が立ち退かないリスク
・貸主が転借人を審査する事が出来ないリスク
・不特定多数の人が出入りするリスク
また転貸はトラブルに繋がる可能性があるため、一般的な賃貸借契約書には必ず下記の様な文言が入っています。
ココに注意
乙は甲の書面による承諾を得る事なく、本物件の全部又は一部について、賃借権を譲渡し、又は担保の用に供してはならない。※賃借権とは賃貸借契約上の借主の権利
要約すると貸主の許可なく、他人に転貸(第三者に又貸しする事)してはいけないと言う事になります。
さらに民法612条1項でも「賃貸人から建物を賃借した賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定められています。
これは契約後も違法に転貸しないよう、規制するための法律になります。
以上の通り貸主は転貸を許可する事に対してリスクがあるため、レンタルサロンやレンタルスペースなどの利用用途について前向きな判断をしてくれません。
そこで貸店舗物件でレンタルスペースなどの利用用途で賃貸借契約を行い事業を開始するには、貸主リスクを軽減させ貸主メリットを用意する事が大切です。
貸主許可を得てレンタルサロンを運営する3つの方法
転貸を理由に貸主から承諾を得られず、レンタルサロン・レンタルスペースの出店を断念するケースは多々あります。
ただし店舗物件を借りてレンタルサロンやシェアサロンを開業したい場合、3通りの解決策があります。
ポイント
(1)賃料値上げを条件として転貸許可をもらう
(2)物件の使用目的をレンタルサロンとして契約する
(3)第三者と業務委託契約を締結する
賃料値上げを条件としてレンタルスペース出店の許可をもらう
まず1つ目の方法として、現在の賃料から1割程度の値上げを承諾する代わりに転貸許可をお願いするという交渉方法があります。
これは最初に説明した通り、貸主が転貸を許可するのにメリットがない事から転貸を得にくいという状況があります。
そこでまずは貸主メリットを用意し、交渉が成立した場合には貸主と借主(=転貸人)と”サブリース原賃貸借契約書”にて締結する事になります。
また転貸人と転借人間で行われる賃貸契約書は、”転貸借契約書”にて締結する事になります。
・貸主
・借主(=転貸人)
・転借人(=転貸人から転貸で物件を借りる人)
なお転貸を前提としたサブリース原賃貸借契約書には、
・貸主が同意した転貸借契約書を使用する事、
・借主(=転貸人)が死亡や倒産するなどして、その地位が貸主に移転しても転借人は承諾する事
以上の内容を転貸借契約書に盛り込むなど、通常の賃貸借契約書とは少し異なる雛形になります。
これらの項目が盛り込まれる事で初めて、貸主も安心して転貸許可出来る様になります。
一度転貸で断られた場合は、上記の方法で仲介の不動産会社に相談してみましょう。
注意ポイント
・基本的に特定の方に月単位で転貸したい場合、サブリース原賃貸借契約書を適用する。
・不特定多数の方に又貸しする場合には適さない。
・サブリース契約に不慣れな不動産会社は多い。店舗仲介専門の不動産会社に依頼する。
・転貸借契約を不動産会社に依頼した場合、当然仲介手数料が請求される。
・転借人にも火災保険&借家人賠償及び施設賠償保険に加入してもらうのが無難。
物件の使用目的をレンタルサロンとして契約する
2つ目の方法として、賃貸借契約時に店舗の利用用途を「レンタルサロン事業」として賃貸借契約する事です。
一般的に自分が契約した物件を第三者に転貸をする際、転借人(=転貸人から転貸で物件を借りる人)にも賃借権(=使用する権利)が発生します。
この場合、貸主は仮に本来の契約者が滞納等があり行方不明となった場合でも、転借人を強制的に追い出す事が出来ないというリスクがあります。
そのため、そもそも転貸借契約をしない事が貸主リスクを下げる事になります。
例えば、賃貸で借りているスペースを第三者に貸し出すビジネスとしてネットカフェやカラオケなどが在りますよね。
これらは利用者から使用対価として料金を受け取るため、利用者には賃借権(借主の権利)が発生せず転貸(転貸借)とは言いません。
つまり貸主に転貸の許可をもらうのではなく賃貸借契約を結ぶ際に、物件の使用目的を店舗(レンタルスペースORレンタルサロン事業)として契約するという事です。
注意ポイント
・無人管理で運営する場合はとくに消防や防犯上の観点から審査落ちする場合がある。
・レンタルサロンでも借地借家法が適用(=賃借権が付与される)される場合がある。
→詳細は、弁護士による不動産の法律ガイドを参照下さい。
なお賃貸借契約後にレンタルスペースORレンタルサロンを始められたい場合は覚書で対応します。
またレンタルスペース・レンタルサロンという業態の認知度がないため、よくわからないから断るという事もよくあります。
カラオケやネットカフェと近い業態であると、ビジネスモデルを具体的に説明する事も大切になります。
第三者と業務委託契約を締結する方法
3つ目の方法として、第三者と業務委託契約を締結するというのがあります。
業務委託とは、従業員(正社員・パート・アルバイト)の方の様な時間に応じた報酬ではなく、成果に応じた報酬を貰う”個人事業主”の事を言います。
エステサロンやリラク・理美容などでは業務委託形態で働くのは一般的な労働形態ですよね。
注意ポイント
・賃貸借契約上の利用用途以外(別業態)となる場合には貸主に相談が必要です。
・業務委託契約者に対しては、勤務時間の拘束や指揮・命令などは出来ません。
まとめ
以上”レンタルスペース開業ガイド!転貸(又貸し)の開業許可と法律知識”はいかがでしたか?
具体的なレンタルサロン・レンタルスペースの運用はこちらも参考にしてください。
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なお、レンタルサロンやレンタルスペース運営を行いたい場合は貸主と信頼関係を築き事が大切です。
無断でレンタルスペースの事業を開始するというのは、違法でありトラブルの元です。
大切なのは貸主からコンセンサスを取って準備をおこないましょう。
ポイント
- レンタルスペース・レンタルサロンとは、比較的新しいビジネスモデル
- レンタルスペース・レンタルサロンを運営する際、転貸と判断される場合がある。
- レンタルスペース・レンタルサロンは契約前に貸主より承諾を得て運営する必要がある。
- レンタルスペース・レンタルサロンの認知度UPにはスペースマーケットがオススメ